繊維について第11回「紡績糸の種類~空紡糸、MVS~」

こんにちは、株式会社フォーリンHP更新担当の野村です。


今回は前回に引き続き、紡績糸の種類について紹介していこうと思います。

前回は、現在主流となっている3種類の紡績糸のリング紡績糸をご紹介いたしましたが、今回は残りの2種類、空気紡績糸とMVS糸のご紹介します。


「空気紡績糸」

主に空紡糸もしくはオープンエンド糸(OE糸)と呼ばれます。

その名の通り空気の力で精紡を行います。

リング精紡機では粗糸をリングとトラベラによって撚りをかけ、糸にしていましたが、こちらでは粗紡を省略し、スライバーから投入することができます。投入されたスライバーは空気の渦の力によって撚られ一本の糸となります。


特徴としては、生産効率は非常に高いことです。しかし、糸にかかる撚りが一定ではなく、外側に強い撚りがかかります。その結果、表面はシャリ感のある硬めの風合いで、凸凹がそれなりにみられる、毛羽が多い糸となります。基本的に太番手の糸の生産に向いており、細番手の糸は向いていないため、リング精紡機と共存しています。

日本ではリング糸が好まれていますが、アメリカではこちらの空紡糸の方が好まれるそうです。

開発されたのが20世紀に入ってからであり、国内に導入され始めたのは20世紀後半頃です。


「MVS糸」

次にご紹介するMVS糸も空気の力を利用して糸にする点では空紡糸と同様ではありますが、特殊な方法を用いることにより通常の空紡糸(オープンエンド糸)とは一味違った糸になっております。

単純にMVSと呼ばれることが多いです。

さて、そもそも「MVS」とは「村田ヴォルテックススピナー」の略称になります。

村田機械株式会社が開発した精紡機で、すべての繊維の先端が糸の中心に来るように設計されています。オープンエンド糸と同様に糸の中心は無撚に近い状態ですが、糸の外側に行くにつれ撚りが強くなります。

口頭で説明するのは少々難しいので、ヴォルテックス糸の公式HPに動画がありますのでそちらをごらんください。

特徴としましては、毛羽が少なくピリングが起きづらい糸になっています。また強度も申し分なく、細番手にも対応できる高効率な精紡機です。


前回のリング紡績糸と、上記2種類を合わせたこの3種類が、現在主流の紡績糸になります。

この他には、前回の記事にて紹介したリング精紡機の前身である、ミュール精紡機や、明治時代に日本が発明した、「ガラ紡」などがあります。

ガラ紡はごくわずかですが、未だ国内で生産されており、手芸糸やタオル等に使われています。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

前回の記事はこちら↓

株式会社フォーリン

愛知県一宮市に本社を構える糸商。 株式会社カネカの難燃繊維カネカロンを中心に、意匠糸等の制作、販売、企画を行っております。

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