繊維について第5回「半合成繊維」
こんにちは、株式会社フォーリン HP担当の野村です。
今回は「半合成繊維」について詳しく書いていこうと思います。
前回の記事はページ最下部にリンクを貼っておりますのでそちらかご覧ください。
半合成繊維は再生繊維と同様に原料は木材パルプなどの天然物ではありますが、これに化学薬品を加えて、変性した原料を繊維にした繊維です。
再生繊維と合成繊維どちらの要素も持っている繊維といえます。
半合成繊維は「セルロース系」とその他に分類されており、
セルロース系はアセテートとトリアセテート
その他にはプロミックスや塩化ゴム等があげられます。
それではセルロース系のアセテートとトリアセテートの特徴から見ていきましょう。
アセテートもトリアセテートも、木材パルプを原料としています。
この木材パルプを酢酸と結合させて繊維にしているため半合成繊維に分類されています。
トリアセテートはアセテートより酢酸が多く結合しているため、合成繊維の特徴が強くでています。
アセテートは絹のような光沢やドレープ性、風合いがあり、ほどよく吸湿性や吸水性があります。また熱可塑性を持っているため、プリーツ加工を行いやすく、婦人服に使用されています。
トリアセテートもアセテートとほぼ同じような性質を持ってますが、合成繊維の特徴がより出ています。そのため強度や耐熱性に若干優れていますが、吸水性が若干低下しています。
ではもう一つプロミックスの特徴についてです。
プロミックスの大きな特徴は原料が牛乳であるということです。
絹を目指して開発されたプロミックスは絹と同じ動物性たんぱく質で繊維を作ろうと、牛乳に含まれるたんぱく質に着目して作られた繊維です。
この牛乳から抽出したたんぱく質とアクリルニトリルをグラフト重合させて一つの繊維としているため、半合成繊維として位置付けられています
感触や光沢など絹に近く、絹の弱点であった虫に弱いという点を克服した繊維となっています。
東洋紡さんがシノンという商標で昔生産していましたが、すでに生産終了してしまっているようです。
さて半合成繊維ですが、新しく開発されたものもあります。
株式会社カネカさんが開発した、再生コラーゲン繊維。
これもまた半合成繊維です。
動物より採取したコラーゲンを原料とした繊維であり非常に柔らかいしっとりとした繊維となっております。
このコラーゲン繊維は紹介記事もかいておりますので下記リンクよりご覧いただければ幸いです。
今回のおさらい
半合成繊維とは木材パルプ等の天然の原料に化学薬品を加えて繊維にしたもの。
セルロース系とその他に分類され
セルロース系は「アセテート」と「トリアセテート」
その他は「プロミックス」等
アセテート、トリアセテートは絹に似た光沢や風合いをもっている繊維で、アセテートよりもトリアセテートの方が化学薬品の割合が多いため、合成繊維的な特徴を持っている。
プロミックスは絹を目指して牛乳のタンパク質から作られた繊維。
東洋紡がシノンという商標で生産をしていたが、現在は生産を中止している。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回は「合成繊維」について書こうと思います。
参考文献
愛知県繊維振興協会(2016) 『TEXTILE HANDBOOK』
一見輝彦 (2014) 『わかりやすい アパレル素材の知識 改訂版』 星雲社
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